整体・マッサージ・接骨院など、資格の違いを明確に知っておこう
『何だか似たようなのが資格が沢山あって違いがはっきりわからない』
これから手技療法の勉強を始めようとする人がまず最初に悩む事だと思います。
私自信もそうでした。当時はネットも発達していなかったので正確な情報を手に入れるのが難しく、資格や学校の選択はとても限られました。
そんな体験から、数々の手技療法の実態と違い、資格取得にかかる期間と費用、実際の働き方などを比較してまとめました。参考になれば幸いです。
目次
独立系国家資格
まずは独立開業できる国家資格ビッグ3。
あん摩マッサージ指圧師
期間:3~4年 費用400万~500万円
一般的にマッサージ師と呼ばれる資格。法律上の正しい表記はあん摩マッサージ指圧師。3つの師が混ざっているが一つの国家資格。4年制の大学か3年制の短大・専門学校で学び国家試験の受験資格を得る。
鍼灸師
期間:3~4年 費用400万~500万円
鍼師、灸師それぞれ別の国家資格。学校は同じ鍼灸大学(4年)や短大・専門学校(3年)で、受験の際の申し出によってどちらか一方の試験を免除されるようです。
【医業類似行為】
マッサージ・鍼灸とも『あはき法』のもと独立開業ができ、治療行為(医業類似行為ともいう)を行える国家資格です。医師の同意があれば健康保険も適用されます。市区長への届け出を経て助成券なども発行可能ですが、実際は手続き等が面倒らしく自由診療(自費)がほとんど。開業の際は保健所への届け出が必要。
当然ながらあん摩マッサージ指圧は、あん摩マッサージ指圧師にしか許されていませんし、鍼灸は鍼灸師しか許されていません。それ以外の人が名称を名乗れば詐欺になります。(マッサージの定義についてはこちら>>>)
柔道整復師
期間:3~4年 費用400万~500万円
いわゆる接骨院。ほねつぎ。その名の通り柔道・柔術の技術をもちいて、骨折・捻挫・脱臼・打撲・挫傷の処置・治療をするための国家資格。3年もしくは4年制の専門学校、短期大学、大学で国家資格の受験資格を得る。柔道・柔術の実技が必須な学校もある。
柔道整復師法のもと『骨折・捻挫・脱臼・打撲・挫傷』については健康保険適用で施術が可能。あはき師の医業類似行為に対してこちらは柔道整復業。
慢性的な腰痛・肩こりなどを腰部捻挫・頚椎捻挫などとした保険の不正請求があまりに多く社会問題となっています。もし単なる肩こり・腰痛で接骨院へ行って、保険証を提示して数百円の支払いで済んだなら、不正診療・不正請求が行なわれているわけです。
年金同様、健康保険も破綻してるというのに、由々しきことです。
治療時間は15分。マッサージ師ではないので指圧・マッサージは当然不可ですが、整復に必要な範囲のマッサージは可。
以上が独立開業できる国家資格ビッグ3。大きい声では言えませんが驚いたことに実技試験はありません。資格を取得した後に実践的な整体などを学び直す方が大勢いらっしゃいます。調理師なども含め実技試験が無い国家資格試験は以外に多い。不思議な国です。
独立は出来ない国家資格
理学療法士(PT)作業療法士(OT)
期間:3~4年 費用:約500万円
病院併設のリハビリ施設で医師の指示のもと治療を行なうための資格。独立した治療は不可。つまり理学療法士・作業療法士とも独立した際は、民間療法の整体師などと同じ枠になります。
3~4年の大学・短大・専門学校での勉強を経て国家試験を受験する国家資格。平成24年の段階で理学療法士だけで10万人もいるそうで、類似資格者も関わっていて仕事は奪い合い。リハビリに積極的な病院も残念なことに多くはありません。
理学療法士は歩行など主に下半身の機能回復、作業療法士は作業(つまり手。)に関わる上半身の回復をアシストするのだそうです。いかにも国家資格と思える分け方で正直呆れます。
民間資格・民間療法
整体師
期間:数日~数年 費用:数万円~数百万円
諸説ありますが、整体を“整体”の字で世に広めたのは野口整体創始野口晴哉氏で間違いないと思います。
あん摩指圧マッサージ師を法制化する際に、同様の扱いをする案もあったようですが『療術はあん摩ではない』と反対があったそうです。その後何度も統一に向けた動きはありましたが細分化著しく今に至ります。細分化が著しいので習得期間も費用も内容も千差万別。
以下の民間療法同様、○○省認可とか○○協会認定とか○○大臣認可などありますが、どれもこれも意味はまったくありません。
カイロプラクティック
期間:1年~4年 費用:100万~500万円
1895年にアメリカのダニエル・デビッド・パーマーによって創始された手技療法。名前の由来は、ギリシャ語で「カイロ」は「手」、「プラクティック」は「技術」を意味する造語。WHOでは補完代替医療として位置づけています。
身体の不調は脊椎を主体とした骨格の異常にあると考え、関節のアジャストメントやマニピュレーションをおこなうものですが、日本に公的資格はなく整体同様魑魅魍魎の住む世界。
オステオパシー
期間:4年 費用:400万~500万円
1874年にアメリカミズーリ州のカークスビル在住の医師アンドリュー・テイラー・スティル (Andrew Taylor Still)によって創始。
大正の頃にカイロプラクティックなどとともに日本へ。日本ではカイロ同様手技だけが取り沙汰されているようですが、本来は手技だけにとどまらず、『1. 身体全体をひとつのユニットとして考える、2. 身体の機能と構造は一体のものであると考える、3. 自然治癒力を鼓舞することを主眼とする』など、我が手力整体に近いかも。
推拿
期間:数日~2年 費用:数万円~200万円
平たく言えば中国のあん摩。中国では治療行為可能な中医学の国家資格。
リフレクソロジー・足ツボ・足裏
期間:数日~2年ほど 費用数万円~100万円
足裏反射区(リフレクソロジー)と足ツボは厳密には違うものですが、きっと一般的には同じように捉えられていると思います。
ポドロジーなどと称し角質や魚の目を削るのは、日本では医療行為に当たると思います。注意しましょう。
アーユルヴェーダ・タイ古式マッサージ・ロミロミ・・・e.t.c.
インド・ネパール・タイ・ハワイ。それぞれの国では医療行為で立派な国家資格ですが、日本で行われる場合はやっぱり単なる慰安でなければならない民間療法です。
民間療法は医療行為ではありません(治療はできません)
某国ではドクターを名乗れたりきちんとした国家資格だったりするものもありますが、日本ではすべて“民間療法”と位置づけされています。その他の医業類似行為と呼ばれた判例もありますが基本的に慰安。『毒にも薬にもならないから』と許されている行為です。(その辺りの詳しいことは関連する法律の章を参照してください)
正直申し上げて『おばあちゃんの知恵』みたいな民間療法を習得するのに100万円も掛けるのは頂けません。400万円とか頭おかしい。狂気の沙汰だと思います。どれだけ時間とお金をかけて民間資格を取得しても日本ではタダの人です。
それだけお金があったら世界一周でもして人としての魅力を養ったほうが良いでしょう。
整体は健康・元気の概念【体育】です
民間療法では診断も治療もできません。もしおこなったら医師法・薬事法に抵触して逮捕です。『治す』『治る』などの言葉を平気で使うのも『腰痛おまかせください』と言って手技だけで完結してしまうのも、おかしな話なのです。
他の療法、他の整体学校はどうかわかりませんが、手力整体塾では『手技は過程』と考えます。
たとえ医療でも疾病を治すのは本人の身体(免疫)。再発を防ぐためには外部要因を変える必要があります。治療ができない民間療法なら尚の事、外部要因を変えるアドバイスが必須です。
“整体”を広めた野口晴哉氏もおしゃっているように『整体は体育』です。歪みを矯正することでも筋肉のコリを取ることでも無く、健康で元気な体を育むための概念こそが整体。それを伝え広めるため、立証するために手技があります。
だから手技は過程。整体師(手力整体師)とは手技をおこなう人ではなく、患者さんと同じ方向を見て寄り添いながら健康・元気へ向かう身体の使い方・心のあり方などを説いていく人の事です。
ワタクシ自身、国家資格に憧れた時期もありますが、今は心底、整体師バンザイ!と言えます。守られない代わりに縛られもしない、民間療法の自由な世界へあなたも是非!