整体師伊藤の失敗談

気持ち良いの言葉に・・・・・ダメージ★★★★

これはまだ師匠のもとで施術をしていた頃の話。
少し気持ちに余裕が出てきて、相手の反応をうかがえる様になったころ。仰向けで首の施術をしていると、『気持ちイイ~』と言ってもらえるのが嬉しくて嬉しくて・・・良くあるある話だが、見事にやりすぎ。いざ起き上がってもらおうとしたら、

○『あれ、首が動かない』
●『!!!・・・・・・・』

筋肉の長短を考えずに気持ち良いところだけ緩めたら、そんな風になる事を知った。
姿勢や動きから狙いを絞る、手力整体はまだ構築されていなかった頃の出来事です。

教訓:主導権は譲るな 

不安を抱えている人・・・・・★★★★★

整体師になって3年目の話。
3年目というのは何事にも気を付けなければならない年だ。
(結婚生活も3年、7年、11年が節目だと聞いた事が有る。実は私、3年目に離婚している)
施術に自信が付いてきて、ともすれば自信過剰。慣れも手伝って1番事故が増える。そんな3年目に体験した話。

『ヘルニアを持っているので軽めに・・・・』
そんな女性を施術した。当時イケイケだった私は・・・・
『ヘルニアなんて慢性の症状に関係ないのにな』と思いながら、いたって普通に施術をおこない仕上げの抵抗運動を始めた。

○「・・・・痛い・・・・」
●「あ、痛いですか?じゃあもう1回横向きになってください」
(内心冷や汗)

1度こうなってしまったらもう何をやってもダメだ。
緊急用に持っていたテーピングで何とかその場を納めたが、帰ってすぐに電話で様子を伺ったりと、気持ちは相当参った。

この時とても大事な事を学んだ。
『不安を取り払う事に全力をつくす』
その人が持っている不安材料が、本当に痛みの元となっていようがいまいが、不安を抱えたままの施術で結果は出ない。下手をすれば痛みを引き起こす。
しっかり話し合い、施術では無理をせず、関連する動作痛や圧痛を少しでも良いから確実にとって信用を高めていく事。

この解決策を考える事で、整体師として大きく成長できたと思うが、あの女性には本当に申し訳ないことをしてしましました。
『整体=私には合わない』という公式が出来上がってしまったかもしれない。

教訓:信用第一!

緩める順番・・・・・★★★

整体を行なっていく際に、やりやすい順序というのがある。
ここがこうなら、こっちがこうで・・・・なるべくいつも同じ事を同じ順序でやると、違いに気付きやすく修正も掛けやすい。
一見良い事尽くめなのだけれど、相手が生身の体だから上手くない事もある。

臀部から下肢外側にかけての痛みのため、簡潔性跛行(ハコウ:ちょっと歩くと痛くなる)があるおじいちゃん。3回の施術でゆっくりだが1キロほど歩けるまでに回復していた。

が、その日はちょっと違ってた。
調子に乗って畑仕事を頑張りすぎたようなのだ。いつもにまして、下肢外側の張りが強くなっていた。
この場合単純に外側に負担が掛かっているので、ここが緩めば痛み自体はとれるのだけれど、内側の筋が萎縮していることが問題。
わかっていながらも、いつもの通り痛みを取ることを最優先に、外側から緩めてしまった。

すると姿勢を変える際に・・・・・イテテテッ!
内側の筋を攣らせてしまいました。

『縮んでいるところを後回しにするとより縮みやすくなって攣る』
頭でわかっていても中々身にはなっていないものです。
幸いすでに好印象をもってくれていたのでその後もお付き合いは続いていますが、あれが初回の施術だったら・・・・・ゾッとします。

教訓:短いところが先!

抵抗の加減・・・・・★★

ある程度の歳になると、皆それぞれに“得意な筋肉”と“苦手な筋肉”がある。
人間に残されたほんのちょっと野生がそうしている。
野生本能の一番根底には『生命維持』があるので、なるべく少ない運動量で過ごそうとするのは至極当然。よっぽど意識しないと、身体中の筋肉を満遍なく使う事なんか出来ないわけです。

だから何も意識しないで普通に生活していたら、得意な筋肉に偏って、少ない筋だけにどんどん負担を掛けるようになります。結果動かない筋肉はとことん動かない。

手力整体ではこの動かない筋肉をなんとか動かそうという手技もあるわけですが、この加減を失敗すると攣らせてしまうことに。

バリバリゴルフをやっている40代前半の男性、股関節痛。
一通り手技を終わらせ痛みはほとんど解消。〆に『ココが動いてないんですよ』と運動してもらった時に・・・・・イテテテっ。

ある程度運動している人だからと勝手に判断し、抵抗が強すぎたのが原因です。
日頃動かしていない筋肉を急に動かしたらどうなるか。小学生でもわかりそうな事です。深く反省。

教訓:動かない筋肉は本当に動かない!